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Gris vert

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ぐるぐる

スマサニ小休止。

ユーリが何か嫌な夢見ちゃうお話。
少しスマユリな雰囲気があるやも……。

本文には出てこないですが、あとがきというか言い訳というか…の方にスマイル2P超オリジナル設定話が出てきます。ご注意ください。

しかし、最近の記事…スマサニ祭りしたいのに時間がなくて出来ないし眠いしで大分わけわかめですね…。


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「じゃあユーリ、明日は朝から仕事だからね。まあ…ぼく等も泊まってくから心配ないけど。」

ユーリ起こすの大変なんだもんと文句を言いながらストーブの上のケトルに水を足している。

私は既に横になっていてもう目を開けているのもつらい。
わかっているよ…と呟いたつもりだがちゃんと言えていたかどうか……。

「ふふ、眠そう。」

スマイルが横に来て私の頭をなでながら

「おやすみ、ユーリ。」


いつもはこの後に続くお決まりの"良い夢を"の言葉は聞けないまま眠りに落ちた。


ー…ガチャン

ドアの閉まるような、何かの鍵を掛けるような音を聞いたような気がした。












ギ……と寝床にしている柩の蓋を持ち上げる。

「………。」

目覚ましの音も仲間のモーニングコールも聞くことなく自然に目が覚めた。

部屋が薄暗いことに気付いて時計を見ると7時前を指している。
日は昇っている時間だ。

鏡をちらっと見て寝癖の確認をする。大丈夫そうだ。

(天気がよくないのだろうか…)

まだぼんやりする頭で思いながら、仲間が待つであろうリビングに向かった。

廊下を歩いているうちに違和感を感じ始めた。
物音が、しない。

(いつもならアッシュが既に起きているはずだが……)

アッシュが城に滞在している時は当たり前になった朝食を作る音や匂いがしない。

(寝坊、か……)

城にいる時は家事のため一番に動き出すアッシュだが、自宅から打ち合わせや練習の待ち合わせに来るときは度々遅れてくることがある。

(……そういう日もあるだろう。)

コーヒーでも淹れようとキッチンへのドアを開けた。

「…?」


キッチンの様子が変わっている。

アッシュが使いやすいようにと整頓されていた調理器具や食材が全て片付けられている。
目につく調理道具には布がかけられて、まるで暫く使われていないような……。

ギクリ、と嫌な予感が過る。

キッチンからリビングの方へ足早に向かう。
大体は開け放たれていることが多い筈の、今は閉ざされたドアノブに手をかけどうにか呼吸を落ち着けてそっと開いた。


其処には薄暗いリビングがあった。
キッチン同様家具には埃避けの布がかけられ使われている様子がない。

(どうして…)


昨夜眠りにつく前の事を思い出そうとして、フラッシュバックのようにあるやり取りが浮かんだ。
古い記憶かいつか見た夢か、或いは昨日の事か。

ー今にも泣き出しそうな顔で無理に笑う、スマイル……ー

(っいやだ!)

(大丈夫。大丈夫だよユーリ。)

(いやだ、やめろスマイル)

(ユーリ…)

(…っスマイル、私は、眠りたくない……!)

(………ごめんね。)


今は……おやすみ、ユーリ。
その言葉に続いて響いたガチャンッと錠を掛ける音で我に返る。


「はっ、はあっ……っ。」


震える身体を無理やり前へ進める。来た廊下を戻り、彼等が使っている部屋に向かう。

(私の記憶には、無い。知らない……。)

(深い眠りに落ちるような兆候だって、無かった。)

しかし、200年前以前の記憶は殆ど無い。
それと同じように、忘れてしまっているだけで…もしかして、自分はまた……。

(そんな筈、)

アッシュの部屋の前に辿り着きドアを開けた、期待する姿はやはり無い。

隣のスマイルの部屋も開けてみる、部屋の明るさと部屋の中央でスタンドに立て掛けられた楽器に息を呑む。
城の中が薄暗いのはどうやら窓の雨戸が閉まっているからのようだ、この部屋は雨戸もカーテンも引かれていない。
空は少し雲が出ているが晴れていた。

楽器…スマイルのベースに触ろうと数歩近付いて動けなくなった。


弦が、錆びている。


スマイルの部屋を飛び出すと、彼等の居そうな場所を全て回った。
防音室も地下の実験室も中庭にも何処にも彼等の気配は疎か誰の気配もない。

(コウモリやお化け達も…)


中庭から城の壁を見上げていると記憶より多少蔦が延びたような気もするが、痛んだり崩れたりしている様子はない。
庭の草木もあまり荒れた感じではないし…。

(まだ、そんなに月日は経っていないのでは…?)


街の様子が気になり城内を駆け足で抜け城門を潜る。
その先は街の外れ近くまで人の侵入を拒むかのような森が続く。

私が眠りから覚めて音楽活動を始めてからは頻繁に人が訪ねてくるようになったが、それ以前は足を踏み入れたら帰ることの出来ない迷いの森と避けられていたようだ。
しかし道をちゃんと覚えていれば出られない事など無い。

(……さっきのは眠る前の記憶?……いつの…。)

スマイルの言葉を思い出し疑問に思う。
眠りたくないと言う私に眠れと言った…。

(彼奴は何か知っているのか…)



そろそろ森を抜けて街が見える辺りだと思っていたが、見えてきたのは出て来た筈の城門だった。

訳がわからず立ち竦んでいると、微かにコーヒーの……

考える前に走り出した。
エントランスの扉を勢いよく開けると、其処はエントランスホールではなく廊下だった。
リビングへと続く、廊下。
先刻と違うのは窓の外は雨、コーヒーの香りにパンの焼ける匂い。

そして、



「「じゃーんけんぽん!!」」

ドアの向こうからは何とも気の抜けるようなかけ声が。


「っあ゛ー!」

「じゃあユーリ起こすのお願いしますね。」

「またぼくかー…。」

「そんな事言って顔はニヤけてますけど。」

「ヒヒヒ、……行ってきまぁーす…。」

ドア越しにそんな会話が聞こえて来たが、ノブに手を掛けたまま開けられずにいた。スマイルが此方に向かってきている、筈だ。
簡単に想像できる向こう側の光景が、ドアを開いた瞬間消えやしないか…。

「…っ」

ドアが開きスマイルが出てきた。
ドアの前で立ち尽くしていた私に驚きながら

「…ユーリ?おはよう、珍しいね……。」
何がとは言わないが。


いつも通りの彼の笑顔を見たら、気が抜けてしまいかくんとその場にへたりこんでしまった。

「ユーリ!?」

呆然と顔を見上げるだけでなにも言わない私の様子がおかしいと察してかドアを閉めてからどうしたの、と私の正面にしゃがみこんだ。

「…私が、寝ていたのは一晩だけか…?」

スマイルは浮かべていた笑みを消して、眉を潜めた。

「……嫌な夢でも見たかい?」

「わからない……。」

今は、夢じゃないよな?と聞く私にスマイルは一瞬顔をしかめるがすぐに笑顔を作って、

「何言ってんの!まだ寝惚けてるのユーリ。」

本心からではない笑顔があの顔と被って見える。

「…お前は眠りにつく前の私を知っているのか?」

「………200年前の?」

ゆっくり頷くと

「…ぼく達が出会ったのは5年前でしょう。ユーリから声をかけてくれたじゃない。」

その筈だ。私もそう記憶している。しかし。
黙りこんだ私に、静かにスマイルが言った。


「……仕事、ちょっと休もうか?忙しくなってきたもんね。疲れてるんだよきっと……いいんじゃない?たまにはサボったって。ゆっくり眠って、今日は休もう。」

その言葉にぞわりと肌が粟立つ。
私を気遣ってくれたのだとしても、ひょうきんで大雑把なように見えて仕事に真摯なスマイルだ。
あまり彼らしくない言葉に頭を過った不安は膨らむばかりで、雨音がその不安を助長させる。

混乱して上手く考えられない。何もかも違和感を感じる。
今はまだ夢の中なのだろうか。



「……お前は、スマイルか?」



此方を心配そうに見詰めていたスマイルは一転、ニヤリと笑った。
何時もの彼とは違う私を見下すような悪意を感じる笑顔。



「ユーリ!!」


突然背後から呼ばれて振り返ると、



スマイルが居た。


何故、と今まで話をしていた相手に向き直ると其処には誰も居なかった。リビングへのドアがあるだけだ。


「……何処から迷い込んだんだ…?」

焦ったように言いながら近付いてきてぐいっと腕を引かれるままに立ち上がる。
考える間も尋ねる間もなく目の前のスマイルは話し出した。


「ユーリ、これは夢だよ。早く起きなきゃ、寝坊しちゃう。」

ほら、周りに色が無いでしょう。

言われて初めて世界に色が無いことに気付いた。
何だ、これは夢なんだ……。漸くほっとした。


「目が覚めたらいつも通りだ。さあ、部屋に戻って。他の部屋のドアを開けちゃ駄目だよ。鏡も見ないで。別の夢の中へ迷い込んでしまうよ。」


「お前は…?」


夢だって言ってるでしょと苦笑しながら背中を押して私を寝室へと向かわせる。

「起きたら、アッシュも……ボクもちゃんと居るよ。」

部屋の前まで来てほらほらと中に入るよう急かす。
ドアノブに手をかけて振り向くと寝坊寝坊!しっしっとまるで犬でも追い払うかのような仕草に少しムッとしながらドアを開けた。









「…………。」

「…おはよう。」


目を覚ますと目の前にスマイルの顔があった。近い、ものすごく近い。しかも何故か眉間にシワを寄せムスっとしている。
手で顔を押し退け起き上がる。

「…何時だ。」

「もうすぐ8時です~…。」

「………何故もっと早く起こさなかった。」

9時には出発するというのに。ギリギリではないか。

「アッシュもぼくも寝坊…。朝から幸先悪いよねぇ…。」

アッシュ君が移動中食べられるようサンドイッチ作ってくれてるからすぐ出られるよう仕度して来て、と立ち上がろうとするスマイルの腕を咄嗟につかむとバランスを崩してスマイルは尻餅ついた。


「うわっ!?ちょ、イタタ……なあにユーリさん…。」


「……お前は、何か知っているのか。」

「え、何が?」


何がと聞かれ、何だろうと思う。
何か聞こうとした気がするがよく思い出せない。
大事な事だったような忘れてしまうくらい些細なことだったような。
そのまま黙り込んでしまった私を寝惚けてると思ったのか、顔の前でひらひら手を振って見せる。

「…ユーリ、起きて。」

「起きている!」


す、スマイル~とキッチンの方からアッシュの焦った声が聞こえる。

「おっとバトンタッチだ。アッシュ君が身仕度する時間。朝ゴハン切り分けて詰めてきます!」

びしっと敬礼してから、ちゃんと準備して来てね!二度寝しちゃダメだよ!!と念を押して部屋を出ていった。

何かもやもやと釈然としない気分のまま棺の中から起き上がる。

(変な夢でも見ていたかな…)

頭を軽く振って気持ちを切り替え着替え始めた。
窓の外の空には今にも雨が振りだしそうな重たい雲が広がっていた。


--------------------------


スマサニの流れをぶったぎって。

何か何も考えずに書いていたら前に考えたラスネ話の最初とユーリがまた眠っちゃうよ的な話が混ざったような感じに……。

何だろ、夢から出してくれたスマイルはラスネールでユーリの見た夢はラスネールが管理している世界や皆が忘れた記憶的な(?)

(昔考えてたスマイル(本体)とラスネール(力の鍵的な)の話では二人は特別な(……)力を持ってる設定笑)

みんなの忘れた記憶を引き受けていたラスがそれに耐えきれず暴走してスマイルが自分からラスネールを引き剥がして封印しちゃうっていう超設定が初期ラスネ話でした笑
スマイル何者だよ。

流石に超設定過ぎるだろ。と思っていたらスマイルがラスネールとか担当し始めるからもう妄想加速ですよね……。
2pスマイルの名前はスマイルの担当曲ラスネールが出てからの後付けです。



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