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Gris vert

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幸せの時間


スマサニください……。

ちょっとここ暫く、浮き沈みしていました。
実家から仕事通うようになって、良かったり大変だったり。

でもアパートに一人で居たときよりは遥かに良い。
電車が気分転換になったのには本当にびっくりした。
乗れなかったのに。
最初数日は両親に送り迎えしてもらったけれど、今は何とか大丈夫。
逆に帰れない、と言うときはアパートにいれば良いのですごく気持ちが楽です。

しかしまだ人と会うのに勇気が出ず、せっかく地元にいるのに友達には会ってないし言ってもいない…。
一対一なら会えそうな気もするんだけど……。

そんなことより。
スマサニ小話です。前から呟いている、スマイルはサニーの髪洗ってあげれば良いよってお話。

絵で描きたかったから暖めていたのに描ける気がしなくなってきたので小話で出しちゃう。


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「サニー、お風呂行こう。髪洗ってあげる。」

お風呂セットを脇に抱えリビングの入り口から満面の笑みでスマイルが手招きをしている。

「……スマイル君も一緒に入るってこと?」

「僕はサニーを洗うだけー。」

はやくはやくと、まるでスマイルの方がお風呂に入れてもらう子供のようにはしゃいでいる。

「じゃあ着替えを持ってくるから、ちょっと待って…」

「だいじょーぶ。全部用意済みです!」

「…………うん。」

(もう敢えてつっこみません。)




「座って座って~」

服を脱ぎ、浴室へ入るとスマイルと彼の横で宙に浮いているシャワーが待っていた。
正確にはスマイルがシャワーを持っているのだけど、上着の袖を捲り包帯と手袋がはずされ露になったその腕は今はいつのもの青い色ではなく透明である。

(スマイル君の肌って本当はどんな色なのかなあ)

「…透明色?」

否、透明は色とは言わないのだろうか。口以外は身に纏っている服すら自分の意思で消せてしまうと言う。
スマイルの身体が透明ってどういうことなんだろう。
見えないだけでちゃんと肌も髪も色があるのかなそれともそもそも色が無いとか。それとも透過しているってこと?でも目はちゃんと見えてるみたいだし………多分。

「そこはメルヘンですから。」

わたしの思考を読んだかのようなタイミングでスマイルが言う。
うん、メルヘン王国なら何でもありだ。そう言うことだ。
わたしを座らせてスマイルは鼻唄まじりに後ろからシャワーで髪を濡らす。

「髪、伸びてきたよね。」

正面に備え付けられた鏡越しに後ろを伺うと透明な手に一摘まみされた髪の毛が一見不自然に跳ねている。

「ほんとだ、後で切ろうかな。」

「えー、伸ばさないの?」

「短い方が楽だし、あんまり伸ばしたことないからなあ…。」

シャンプーするよーの言葉と同時に頭にひんやりとした感触。
爪を立てないよう指の腹で優しく丁寧にシャンプーを泡立て洗ってくれる。
程よい力加減で気持ち良い。
その様子を鏡越しに見ているとなんとも不思議な光景だ。
髪の毛が勝手に動いて自ら洗髪しているような…。

(メデューサの頭ってこんな感じかな)

自分で洗わなくても蛇たちがそれぞれ洗ってくれるのだろうか。
そもそも蛇の頭に洗髪は必要なのか。洗剤で洗われたら蛇も堪ったもんじゃないかもしれない。

(水浴び……?)

そう言えばポップンパーティーにメデューサの女の子が参加していた気がする。
想像していたメデューサよりも可愛らしい姿をしていた彼女を思い出したところでスマイルから声がかかる。

「流すよー。」

きゅっと目を瞑ってメデューサの洗髪について考えるのをやめた。
続いてリンスとトリートメントと順に髪に馴染ませていく。

「髪の毛洗ってもらうのって気持ち良いよねぇ。眠くなってきちゃった……。」

「まだ寝ちゃダメだよ?」

くすくすと笑いながらお風呂出てからなら思う存分お昼寝して良いよと言うけど、スマイルの髪を撫でる手が優しくて眠気は増すばかりだ。
船を漕ぎ出しそうなわたしに、これ流したら終わりだから身体洗っててとスポンジとボディソープを持たせる。




「よーし。洗い終わった?」

「終わったよ。」

じゃあ流しマース。とシャワーのコックをひねりお湯を出す。
髪と今度は身体も流してもらい終わり。湯船に入ってていいよと促されお湯に浸かる。
お湯に浸かる瞬間とふかふかのお布団に潜り込む時の幸福感といったら。

スマイルは一度浴室から出てタオルを持って戻ってきた。
浴槽の縁に腰掛け髪の毛を拭いてくれる。


「やっぱり髪伸ばしてみたらいいのに。きっと可愛いよ。」

濡れていてウェーブが緩くなりいつもより少しだけ長く見える髪を鏡で見て大分伸びてたんだなあと思う。
全く気にしないわけではないが、同じ年頃の女の子に比べたら服装や髪の毛にあまりこだわりがない自覚はあるので人に可愛いなんて言われてもまたまた~って笑ってしまうけど、スマイルに言われるとどうも嬉しくなってしまう。

「……試しに伸ばしてみようかな。」

「本当?ふふ、楽しみだなあ。」




お風呂から上がりスマイルと共に廊下に出ると丁度仕事から帰ってきたらしいユーリさんとアッシュ君が居た。
二人はこちらを無言で見つめたまま動かない。アッシュ君は心なしか顔が赤いような。

「…お邪魔だったかな。」

「ホントだよ。」

ユーリさんの言葉にスマイルはわざとらしく盛大にため息をついて見せる。
しかしそのまま何事もなかったかのように二人はリビングに向かって行ってしまった。
スマイルはアッシュ君の横を通りすぎ様に未だ固まっている彼の額にビシッとデコピンをかましていく。
デコピンの衝撃で我に返ったアッシュ君がわたしを見て狼狽え始めた。
その様子に何故かわたしもつられて焦り始めてしまう。

「あ、あああ…あの」

「ちが、えっと、あの……スマイル君が私の髪洗いたいなどと言い出してですね……!断じて、一緒に入っていたわけではなく…!」

(わたしは素っ裸だったけど、スマイルは服着たままで湯船にも浸かってないもんね!セーフセーフ(?)

「そ、そうでしたか…!仲が良いのは、いいと思います!!」

もうアッシュ君もわたしも訳がわからなくなっている。


「何してるの二人ともー」

この状況を作り出した本人が呑気にリビングから呼んでいる。
ユーリがお腹へったってさーとの声にアッシュ君が弾かれたようにキッチンへ向かった。

「今、お茶とお菓子を用意します!サニーさんもリビングで寛いでいてください。」

リビングの入り口ではスマイルがドライヤーとブラシ(やっぱり宙に浮いている)を手に、にっこりしていた。

「髪、乾かしてあげるからおいで。」



ソファーに座りアッシュ君が入れてくれた紅茶を飲みながらスマイルに髪を乾かしてもらう。
今アッシュ君が焼いているお菓子の良い匂いがする。何が出てくるのか楽しみだ。

(何だか、至れり尽くせりだなあ…)

「髪が伸びたら、また洗わせてね。」

「うん、お願いね。」

後で腕の包帯を巻くのを手伝わせてもらおうとぼんやり思いながら、今はスマイルが髪をとかす感触とドライヤーの程良い温度の風の心地よさを満喫することにした。

(髪が伸びるのが楽しみだ。)



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趣味:
落描き。妄想。スマイルが異常に好きだ。

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