忍者ブログ

Gris vert

現在サイトの更新は『GV+』(イラスト投稿用ブログ)の方が中心になります。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

SH小話

えらい長くなりました。字数制限が来るくらい。
サンイヴェ学パロで付き合ってるんだか無いんだか。
いちゃこらしてる訳じゃないけど、おとこのこ同士がいちゃこらしているのが苦手な方はご注意ください。


いちゃこらバッチこいだぜ!という方にも。
いちゃこらはしてません、始終険悪ですすみません。


拍手

高校3年の5月。
今まで仲間と馬鹿やって毎日楽しいことばかりやってきた。
先月の終わりに進路指導の時間があって、別に初めてじゃないし去年から何度もあった。でもその時、気付いちゃったんだ。
こうやってみんなで馬鹿なことして笑って当たり前に顔を合わす毎日はもう1年も無いんだなあって。

そう思ったら、同じクラスのいつも一緒にいる友人の顔が浮かんで、急に苦しくなったんだ。
気付いてしまうとそっちにばかり気が向いてしまい授業中だというのに先生の話は全く頭に入ってこない。
早く終わらないかな、と時計を見てから隣に貼られている時間割り表をぼんやり眺めていると5限目にある体育のジャージを持ってきていないことにも気付いた。

まじかー……。
何かもう今日は駄目だな。何もやる気が起きないや。
授業が終わり、教室を見回すけれど目的の友人は見当たらない。
最近忙しそうにしていて、休み時間の度何処かへ行ってしまう。
先月同じクラスになれたのを喜んで、夏には部活も引退して時間が沢山出来るから遊び放題だなんて一緒に笑ったのは僕の気のせいだったかと思うくらい最近は別行動ばかりだ。
今までクラスは違ったけど時間があればいつも一緒にいた、今は同じ教室に居るのに以前の方がずっと近くに居たような気がする。
毎日顔を合わせて同じ教室で学んで同じ時間と風景を共有できる今を少しでも大切に、一緒に過ごしたいと思うのに。


「イヴェールー!」

名前を呼ばれ教室の入り口を見るといつも遊んでいる仲間の一人がいた。

「どうしたのオリオン、ローランサンは居ないよ。」

「うん、お前に用あって。昼休み空いてる?」

「まあ、空いてる…けど。」

1年の時から昼は件の友人、ローランサンと一緒に食べていたけど最近は気付くと居ないので一人だ。確かに改めて約束していた訳じゃなかったけど、一言あったって良いと思う。

「ちょっと頼みたいことあるんだよね。飯食った後で第2会議室来てくれる?」

「わかった…。1時頃でいい?あ、あとジャージ持ってたら貸してくれないかな、忘れちゃって。5限体育なんだ。」

「オッケーオッケー。じゃあ昼にジャージも持ってくわ。」

「うん、よろしく。」

今日は昼休みにローランサンの事を考えて悶々としなくてもよさそうだと、少しほっとした。




4限目が終わり、オリオンとの約束の時間までに昼飯を食べなければとカバンから弁当と飲み物を買うために財布を取り出す。
珍しくローランサンはまだ教室にいたけれど、声は掛けずに教室を出た。
会議室にも近いし中庭で食べようと思い付くと少し気分が弾んだ。天気が良いからきっと気持ち良いはずだ。
途中の自販機で飲み物を買い、その冷たさがまた気持ち良くて、もうすぐ夏なんだなあとしみじみ思う。
こうして居られるのは後どれだけか。

****

第2会議室のドアを開けると中にいたのはオリオンだけではなくて驚いた。
みんなホワイトボードに向かって座り、まるでこれから会議でも始まりそうだ。そう言えばここは会議室だからおかしくはないか。部屋あってるよね、と教室の入り口に掛けられたプレートを確認する。
うん、第2会議室だ。


「来た来た。イヴェールこっち、隣に座って。」

ホワイトボードの横に出された机の前に座っているオリオンに手招きされる。
なんと言うか、其処は会議を仕切る議長の席のような気がするのだけど。
取り敢えずオリオンの横に並ぶ。

「オリオン今更だけど……頼み事って、何?」

にこーっと笑うとゴホン、とひとつ咳払いをしてとんでもないことを言い出した。

「イヴェール、生徒会副会長やって。あ、はいこれジャージね!」

「………。」


前生徒会長は凄い人だった。
やることなすこと予想の遥か斜め上を行き、面白いことが大好きで学校の行事にいろんなイベントを追加し一見無茶苦茶なのだが勉強も運動も出来て人当たりの良い雰囲気のせいか教師からも生徒からも人気があった。
1つ困った事と言えば次の生徒会長に溺愛する自分の弟を指名したことだ。
無茶は言うものの無理に押し通そうとはしない会長にしては珍しく弟を新会長にと譲らなかった。
しかし弟は完全拒否。会長が説得を試みようとするが全く聞く耳を持たず。兄を煙たがり家出までしてしまう始末。
その騒動のお陰で今の今まで今期の生徒会長が決まっていなかったのだ。

「んで元々副会長に指名されていたらしいオレに生徒会役員の子達が会長やってって頼みに来てくれたのよ。」

「それでどうして僕?エレフは。」

「だって生徒会のせの字も出そうもんなら睨みきかせて口聞いてくんないんだもん。」

「…エレフ眼力凄いもんね。」

「俺一人じゃ心許ないし、イヴェールなら頼れそう!って思って。」

「会長が一番頼りにならなきゃ駄目じゃないか?」

「良いじゃん良いじゃん!10月の文化祭まで頑張ればすぐ次の生徒会とバトンタッチだから!」


生徒会なんて全く関わってこなかった二人が会長副会長だなんて無謀すぎると思う。
と断ろうとするも少し前会長に似て破天荒気味なオリオンを会長にとすっかり乗り気になってしまっている役員達の押しに負け結局引き受けてしまった……。

内容も聞かず軽く返事をするんじゃ無かったな…と溜め息つきながら午後の授業の為に教室へ向かう。

****


「う、わあ誰も居ない…。」

少し時間ギリギリかなと思っていたけど教室にはもう誰も居らずみんな先に移動してしまったようだ。
まあ、ちょっと遅れても事情話せばわかってもらえるかな。無事に会長副会長が決まったのだし……。
着替えようとベストに手を掛けたところで腕を掴まれた。

「う、わっ。ローランサン?びっくりした。」

「お前、今まで何処に行ってたんだよ。」

何故か機嫌が悪いローランサンに驚いたが、久々に声掛けてきたかと思えば散々休み時間に人を放置しておいて何処行ってただなんて自分勝手が過ぎないかと腹が立ってきた。

「何処だっていいだろ。オリオンに用事頼まれてたんだ。」

「用事って何だよ?」

「離せって。授業遅れるだろ!」

少し強めに振り払うとあっさりローランサンは手を離した。
それきり何も言わなくなったが、顔は明らかに不機嫌だ。言いたいことがあるなら言えば良いのに。
やっぱり授業には遅れてしまい、二人で先生に怒られた。

****

今日の授業が全て終わり、帰り支度を済ませオリオンにジャージを返しに行こうと席を立つとローランサンが来た。

「ちょっと来い。」

言うなり僕の腕を掴んで歩き出す。掴む力が強すぎて痛い。

「サンっ!僕オリオンに用があるんだけど。」

「……。」

無視か。
放課後の生徒がごった返す廊下で旗から見ても機嫌が悪いローランサンに引っ張られる僕を心配して何人かが振り返るが彼がキレると手が付けられないのをみんな知っているため様子をうかがうだけだ。
オリオンのクラスの前に差し掛かった時丁度オリオンが教室から顔を出した。

「あ、イヴェールじゃん。ナイスタイミング!」

こちらに気付いて声を掛けてくれたが前を行くローランサンの様子に気付くと苦笑いした。

「……あ~…。来れたらまたさっきのトコ来てくれる?大した用じゃないから来れたらでいいんだけど。」

ローランサンの睨みをヘラリとかわしてあんまりイヴェール虐めるなよーとひらひら手を振りながら会議室の方へと走り去っていった。
助けてくれないのかよ薄情者!!


****


長すぎた……。
続きます。
PR

この記事へのコメント

Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ閲覧できます
 

カレンダー

06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール

HN:
miyuki niko
性別:
女性
趣味:
落描き。妄想。スマイルが異常に好きだ。

拍手

web拍手
感想、指摘など何かありましたらどうぞ。

ブログ内検索

Copyright ©  -- Gris vert --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Photo by momo111 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]